WORLD HERITAGE LAB

マチュピチュが怖いと
言われる理由

消えた住民、謎の扉、顔に見える山。噂と事実を分けて検証します

マチュピチュについて調べていたとき、検索候補に「マチュピチュ 怖い」と出てきて驚いたのがきっかけです。あんなに美しい場所なのに、なぜ「怖い」と言われるのか気になって、噂のひとつひとつを研究や公式の情報と照らし合わせてみました。結論から言うと、怖い噂の多くは「よく分かっていないこと」から生まれた想像で、本当に気をつけるべきなのは高山病や天候などの現実的なリスクでした。この記事では、噂と事実をきちんと分けて紹介します。

マチュピチュそのものの基本はマチュピチュとは?歴史と見どころでまとめているので、あわせて読んでみてください。

※この記事にはPRを含みます。

この記事で分かること

  • マチュピチュが「怖い」と言われる5つの理由
  • 住民が消えた理由や謎の扉の本当のところ
  • 都市伝説と事実のちがいが一目で分かる表
  • 実際に気をつけたい高山病・天候・治安のこと

マチュピチュが怖いと言われる理由

深い霧に包まれたマチュピチュ遺跡と、ウルバンバ川の谷へ切り立った崖の上に並ぶ石造りの建物
霧に包まれると、遺跡は一気に神秘的な雰囲気に※イメージ

断崖と霧がつくる不思議な景色

マチュピチュは、両側が数百mの崖になった尾根の上にあります。朝は霧が谷から立ちのぼり、遺跡がすっぽり隠れてしまうこともあります。写真で見る「雲の上に浮かぶ街」の姿は美しい反面、「人がいない街が霧の中に浮かんでいる」ように見えて、少しぞくっとする人も多いようです。

さらに、文字の記録が残っていないため、建物の本当の使い道や当時の名前が分からないことも、「謎の都市」というイメージを強めているのかなと思います。

住民はなぜ消えたのか

「ある日突然、住民が消えた」と語られることがありますが、研究ではもっと現実的な理由が考えられています。

  • インカ帝国の崩壊:1530年代のスペインによる侵略で、皇帝の離宮を支えるしくみがなくなった
  • 病気の流行:ヨーロッパから持ち込まれた天然痘などが、スペイン人より先に広がった
  • 役目の終わり:マチュピチュは皇帝一族の離宮だったため、王家の力が弱まると住む理由がなくなった

つまり「消えた」というより、数十年かけて少しずつ人が去っていったと考えるのが自然です。争いのあとや大きな火事の跡が見つかっていないことも、その見方を支えています。

謎の扉と地下空間の噂

2012年、フランス人の探検家が「地中レーダーで遺跡の下に隠し部屋が見つかった」と発表し、「インカの財宝が眠っているのでは」と話題になりました。いわゆる「謎の扉」の噂です。

ただし、これは学術的に確かめられた発見ではありません。ペルー政府は遺跡を傷つけるおそれがあるとして発掘を認めておらず、本当に部屋があるのか、中に何があるのかは分かっていません。財宝が眠っているという話は、確かな根拠のない噂と考えておくのがよさそうです。

注意

「謎の扉の奥に財宝」「地下に巨大都市」といった話は、学界で認められた事実ではありません。ネットの情報を見るときは、だれが、どんな方法で調べたのかを確かめるクセをつけたいですね。

顔に見える山の正体

マチュピチュの有名な写真を横に90度かたむけると、ワイナピチュ山が「空を見上げる人の横顔」に見える、という話があります。インカの人たちがわざと顔の形に作った、と言われることもあります。

これは心理学でパレイドリア現象と呼ばれるもので、雲やコンセントが顔に見えるのと同じく、人間の脳が自然の形の中に顔を見つけてしまうしくみです。山は自然にできたもので、顔に見えるのは見る人の脳のはたらき、というのが正体です。

お墓と生贄の本当のところ

ビンガムの調査では、遺跡のまわりの岩かげなどから100以上のお墓が見つかりました。これが「生贄の場所だったのでは」という噂につながっています。

しかし、研究で分かっているのは、お墓の多くはマチュピチュで働き、暮らしていた人たちの普通のお墓だということです。2023年のDNA研究では、その人たちが帝国のさまざまな地域から集められていたことも明らかになりました。インカには子どもを山頂でささげる「カパコチャ」という儀式がありましたが、マチュピチュでその儀式が行われた確かな証拠は見つかっていません。

マチュピチュの怖い噂と本当のリスク

マチュピチュの背後にそびえるワイナピチュ山へ続く、手すりの少ない急な石段のインカの登山道
ワイナピチュの登山道は急な石段が続く※イメージ

都市伝説と事実の比較表

よく聞く噂 実際のところ
住民がある日突然消えた 帝国の崩壊や病気で、数十年かけて人が去ったと考えられている
地下に財宝が眠る謎の扉がある 2012年の発表はあるが、発掘は許可されておらず未確認
山が人の顔の形に作られている 自然の山。顔に見えるのはパレイドリア現象
生贄の儀式の場所だった お墓の多くは住人の普通のお墓。儀式の確かな証拠はない
行くと呪われる 根拠のない作り話

こうして並べると、怖い噂のほとんどは「分からないこと」に想像がくっついて広まったものだと分かります。一方で、次に紹介するリスクは本物なので、行く方はしっかり準備しておきたいですね。

高山病と急な石段に注意

実際の旅でいちばん気をつけたいのが高山病です。マチュピチュの標高は約2,430mですが、多くの人が経由するクスコは約3,400mと、さらに高い場所にあります。頭痛や吐き気、息切れが出ることがあり、到着してすぐに無理をしないことが大切です。

また、ワイナピチュやマチュピチュ山の登山道は、手すりの少ない急な石段です。すべりにくい靴をはき、雨のあとは特に足元に注意しましょう。持病のある方や体調に不安がある方は、出発前にお医者さんなど専門家にご相談ください。

治安とスリへの対策

遺跡の中は警備員やガイドが多く、比較的安全とされています。一方で、リマやクスコの街なか、駅やバスの乗り場など人が集まる場所では、観光客をねらったスリや置き引きが報告されています。

  • 貴重品は分けて持ち、リュックは体の前で持つ
  • 夜のひとり歩きや、人通りの少ない道は避ける
  • タクシーは配車アプリや、宿で呼んでもらった車を使う

豪雨とストライキへの備え

マチュピチュは年間2,000mm近く雨が降る場所で、雨季(11月〜3月ごろ)には土砂崩れで線路が止まることがあります。2010年1月には大雨で鉄道が寸断され、数千人の観光客が足止めされました。

もうひとつのリスクが、抗議活動やストライキです。2023年1月には政治的な混乱で遺跡が一時閉鎖され、2025年9月にはシャトルバスの運営をめぐる争いで線路に石が置かれ、約1,400人が避難し、さらに数百人が足止めされる事態になりました。出発前と旅の途中で、外務省の海外安全ホームページや現地のニュースを確認しておくと安心です。

現地の移動や見学が不安な方は、日本語ガイドや送迎つきの現地ツアーを使うのもひとつの方法です。トラブルのときに相談できる人がいるのは心強いですね。PR

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マチュピチュ怖い噂の真相まとめ

マチュピチュが怖いと言われるのは、断崖と霧の景色や、文字の記録がなく分からないことが多いからでした。住民が消えた話、謎の扉、顔に見える山などは、調べてみると現実的な説明がつくものがほとんどです。本当に気をつけるべきは、高山病や天候、ストライキといった現実のリスク。正しく知って準備すれば、マチュピチュは怖い場所ではなく、ワクワクする場所になるはずです。旅の準備はマチュピチュの行き方完全ガイドもどうぞ。

マチュピチュの怖い噂と、研究で分かっている事実を左右にくらべて整理したイラストのインフォグラフィック
噂と事実を見くらべよう※イメージ

自由研究にチャレンジ!

記事の本文には書いていない豆知識をクイズにしました。タップすると答えが開きます。

【小学生むけ】知ってた?インカの人たちはミイラを大切にしていた?

答え:はい、亡くなった皇帝のミイラを大切にしていました。

インカでは、亡くなった皇帝はミイラにされ、生きているときと同じように食事が用意され、お祭りにも参加していたと記録されています。怖いというより、ご先祖さまをとても大切にする文化だったんですね。

調べ方のヒント:日本のお盆とインカのご先祖の祭り方をくらべて、似ているところとちがうところを表にしてみよう。

【中学生むけ】知ってた?空の雲や壁のしみが顔に見えるのはなぜ?

答え:脳が「顔」をすばやく見つけるようにできているからです。

人間の脳には顔を見分ける専用のしくみがあり、目と口のように並んだ点があると、それだけで顔だと感じてしまいます。赤ちゃんのころから顔を見つけるのが得意なのは、仲間や危険をすばやく見分けるためと考えられています。

調べ方のヒント:身の回りで「顔に見えるもの」の写真を集めて、どんな配置だと顔に見えるのか共通点を探そう。

【高校生むけ】知ってた?マチュピチュでは数百年前の観光客の落書きが見つかっている?

答え:1902年に書かれた名前が残っていたことが分かっています。

ビンガムより前の1902年に、ペルー人のアグスティン・リサラガが遺跡を訪れ、壁に炭で名前と年を書き残していました。ビンガム自身もこの書き込みを見たと記録しています。「発見者」とはだれのことを指すのか、歴史の見方によって答えが変わる良い例です。

調べ方のヒント:「発見」という言葉が、だれの立場から語られているかを考えながら、ビンガムの記録と地元の人の証言の両方を調べてみよう。

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