クロアチアの世界遺産10件一覧|ドブロブニクと絶景の湖を解説

アドリア海の城壁都市から、16の湖が連なる国立公園まで

クロアチアの世界遺産を調べ始めたのは、真っ赤な屋根がぎっしり並んだ城壁の街の写真を見て「これ、本当に今も人が住んでいる街なの?」と気になったのがきっかけです。調べてみると、その街ドブロブニク(ドゥブロヴニクとも書きます)だけでなく、ローマ皇帝の宮殿がそのまま街になった場所や、2400年前の畑の区切りが今も使われている島など、驚くような世界遺産がいくつも見つかりました。全部で10件あるのですが、日本ではドブロブニクとプリトヴィッツェ湖群以外はあまり知られていないかなと思います。この記事では、クロアチアの世界遺産10件を一覧で紹介しながら、旅で回るときのコツまでまとめました。

※この記事にはPRを含みます。

この記事で分かること

  • クロアチアの世界遺産10件の場所と、それぞれの見どころ
  • ドブロブニクやプリトヴィッツェ湖群が世界遺産に選ばれた理由
  • 10件の英語名と登録年がひと目で分かる一覧表
  • 世界遺産をめぐるモデルコースと、日本からの行き方のコツ

クロアチアの世界遺産10件を一覧で紹介

クロアチアはアドリア海(イタリアとバルカン半島のあいだにある細長い海)に面した、南北に長い国です。世界遺産は文化遺産8件・自然遺産2件の合わせて10件。そのほとんどが海沿いのダルマチア地方に集まっているので、北から南へ順番にたどりやすいのも特徴なんですよ。

ドブロブニク旧市街はアドリア海の真珠

「アドリア海の真珠」と呼ばれるドブロブニク旧市街は、1979年に世界遺産に登録されました。中世には「ラグーサ共和国」という海の貿易国家として栄え、強国ヴェネツィアとも対等に渡り合ったそうです。旧市街をぐるりと囲む城壁は全長約1,940m、いちばん高いところで約25mもあり、今は城壁の上を歩いて一周できます。1667年の大地震で街の大部分が崩れましたが、その後バロック様式(17世紀ごろに流行した、重厚で華やかな建築スタイル)で美しく建て直されました。

1991年からのクロアチア紛争では砲撃を受けて建物の多くが傷つき、危機遺産(このままでは価値が失われるおそれがある世界遺産のリスト)にも入りました。伝統的な材料と技術を使った修復が国際的な支援のもとで進められ、1998年に危機遺産のリストから外れています。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の王都のロケ地としても有名ですね。

魔女の宅急便の舞台って本当?
ドブロブニクは「スタジオジブリ作品の舞台のモデル」として紹介されることがあります。ただしこれは一部で語られる説で、特定の街をモデルにしたと公式に決まっているわけではありません。アドリア海沿いの街並みの雰囲気が重なる、くらいに楽しむのがいいかなと思います。

プリトヴィッツェ湖群国立公園の16の湖

内陸の山あいにあるプリトヴィッツェ湖群国立公園は、1979年に登録された自然遺産です。大小16の湖が階段のように連なり、そのあいだを無数の滝がつないでいます。いちばん大きな滝「大滝」の落差は78m。この階段の正体は、水に溶けた石灰分がコケや藻にくっついて固まった石灰華(せっかいか。天然のダムのような石の壁)で、今も1年に1〜3cmほど成長しているそうです。つまり、湖の形は今この瞬間も少しずつ変わり続けているんですね。湖の水の色がエメラルドグリーンから青まで変わって見えるのも、この公園の大きな魅力です。

クロアチアの世界遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園で、エメラルド色の湖に滝が流れ落ちる風景
プリトヴィッツェ湖群の滝と湖 ※イメージ

スプリットのディオクレティアヌス宮殿

アドリア海沿いの港町スプリットには、ローマ皇帝ディオクレティアヌスが引退後に暮らすため、西暦305年ごろに完成させた巨大な宮殿があります。大きさは約180m×215m。7世紀に近くの町から逃げてきた人たちが宮殿の中に住みつき、柱や壁のすき間に家やお店を建てていった結果、宮殿がそのまま一つの街になりました。今も城壁の内側で約3,000人が暮らしていると言われていて、古代ローマの建物の中で普通に生活が営まれているのが、この世界遺産のおもしろいところです。

石の街トロギールとシベニク大聖堂

スプリットのすぐ近くにあるトロギールは、小さな島がまるごと中世の街になった世界遺産(1997年登録)です。島の大きさは東西約500m・南北約250mほどで、歩いて回れるコンパクトさ。古代ギリシャ時代の碁盤の目のような道の上に、いろいろな時代の建物が重なっています。

そこから北へ向かったシベニクにある聖ヤコブ大聖堂(2000年登録)は、1431年ごろから約100年かけて建てられた大聖堂です。木材やモルタル(石と石をくっつけるセメントのようなもの)を使わず、削った石の板を組み合わせて建てられているのが最大の特徴。外壁には71の人の顔の彫刻(数え方によって諸説あり)が並んでいて、当時の街の人たちがモデルになったと言われています。

ポレッチの聖堂とフヴァル島の古代の畑

北部のイストラ半島にあるポレッチのエウフラシウス聖堂建築群(1997年登録)は、6世紀半ばに建てられた教会の建物群です。祭壇の奥を飾る金色のモザイク画がとても見事で、建てた司教エウフラシウス本人が教会の模型を持った姿で描かれています。

もう一つは、フヴァル島のスタリグラード平原(2008年登録)。紀元前384年、古代ギリシャの人々がこの島に移り住んだとき、畑を約180m×900mの長方形にきっちり区切りました。その区切りの石垣が約2,400年たった今も残っていて、ブドウやオリーブの畑として使われ続けているんです。接着剤を使わずに石を積んだだけの石垣が、これだけ長く残っているのは驚きですよね。

国境をまたぐ3つのクロアチア世界遺産

残りの3件は、クロアチアだけでなく、まわりの国と一緒に登録された世界遺産です。

  • ステチュツィ(中世の墓碑群):12〜16世紀にバルカン半島で作られた大きな石の墓碑。4か国で共同登録(2016年)され、クロアチアには2か所あります。
  • 16〜17世紀のヴェネツィアの防衛施設群:ヴェネツィア共和国が大砲の時代に合わせて築いた要塞。イタリア・モンテネグロとの3か国で共同登録(2017年)され、ザダルの城壁とシベニクの聖ニコラ要塞が含まれます。
  • カルパティア山脈と欧州各地の古代・原生ブナ林:人の手がほとんど入っていないブナの森。ヨーロッパ18か国にまたがる自然遺産で、クロアチアでは2017年に北ヴェレビト国立公園とパクレニツァ国立公園の森が加わりました。

クロアチア世界遺産の英語名と登録年

10件を英語名と登録年で一覧にしました。現地の案内板や英語のサイトで調べるときにも役立つと思います。

日本語名 英語名 登録年 種類
ドブロブニク旧市街 Old City of Dubrovnik 1979年 文化
スプリットの史跡群とディオクレティアヌス宮殿 Historical Complex of Split with the Palace of Diocletian 1979年 文化
プリトヴィッツェ湖群国立公園 Plitvice Lakes National Park 1979年 自然
ポレッチ歴史地区のエウフラシウス聖堂建築群 Episcopal Complex of the Euphrasian Basilica in the Historic Centre of Poreč 1997年 文化
トロギール歴史都市 Historic City of Trogir 1997年 文化
シベニクの聖ヤコブ大聖堂 The Cathedral of St James in Šibenik 2000年 文化
スタリグラード平原 Stari Grad Plain 2008年 文化
ステチュツィ(中世の墓碑群) Stećci Medieval Tombstone Graveyards 2016年 文化
16〜17世紀のヴェネツィアの防衛施設群 Venetian Works of Defence between the 16th and 17th Centuries 2017年 文化
カルパティア山脈と欧州各地の古代・原生ブナ林 Ancient and Primeval Beech Forests of the Carpathians and Other Regions of Europe 2017年(クロアチア分) 自然

世界遺産検定でも問われやすいポイント

  • ドブロブニク旧市街は1991年に危機遺産に入り、修復が進んだ1998年に外れた
  • プリトヴィッツェ湖群も紛争の影響で1992〜1997年に危機遺産だった
  • スプリットは「宮殿が街になった」都市の続き方が評価されている

クロアチアの世界遺産をめぐる旅のコツ

クロアチアは南北に細長いので、回る順番を工夫するだけで移動がぐっと楽になります。ここからは、世界遺産を効率よくめぐるためのコツをまとめますね。

クロアチアの世界遺産をめぐる旅で通るアドリア海沿いの海岸道路と、海辺に並ぶ赤い屋根の旧市街
アドリア海沿いの海岸線 ※イメージ

世界遺産をめぐるモデルコース

北の首都ザグレブから入って、南のドブロブニクから帰る「北から南へ抜ける」ルートが王道です。行きと帰りで空港を変える航空券(オープンジョー)にすると、同じ道を引き返さずにすみます。

日目 回る場所(5泊7日の例)
1日目 ザグレブに到着
2日目 プリトヴィッツェ湖群を散策して、夕方シベニクへ
3日目 シベニク大聖堂、トロギールを見てスプリットへ
4日目 ディオクレティアヌス宮殿を見て、ドブロブニクへ移動
5日目 ドブロブニク旧市街と城壁歩き
6〜7日目 ドブロブニクから出国・帰国

日程に余裕があれば、スプリットからフェリーでフヴァル島へ渡ってスタリグラード平原を自転車で回ったり、北のイストラ半島でポレッチに寄ったりするのもおすすめです。移動が多い旅なので、自分で手配するのが不安な人はツアーを使うのも一つの手かなと思います。

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日本からの行き方とベストシーズン

2026年10月時点で、日本からクロアチアへの直行便はありません。フランクフルトやミュンヘン、ウィーン、イスタンブール、ドーハなどで1回乗り継ぐのが一般的で、乗り継ぎを含めて16〜20時間くらいが目安です。通貨はユーロで、2023年からシェンゲン協定(ヨーロッパの国どうしで国境の審査をなくす取り決め)にも加わっています。

ベストシーズンは、気候がおだやかで混雑も落ち着く5〜6月と9〜10月。7〜8月は暑さと観光客の多さがピークになります。プリトヴィッツェ湖群は新緑と水量が豊かな5〜6月か、紅葉の10月がきれいですよ。

料金や入国のルールは変わりやすいので注意
2026年10月時点では、ドブロブニクの城壁は大人40ユーロ(冬は20ユーロ)、プリトヴィッツェ湖群の1日券は大人10〜40ユーロ(季節で変わります)です。また、ヨーロッパの新しい入国制度(EES・ETIAS)は導入の時期が見直されることがあります。旅行前には、各施設の公式サイトや外務省・EUの公式ページで最新の情報を確認してくださいね。

がっかりと言われる理由と本当の魅力

検索してみると「クロアチアの世界遺産はがっかり」という声も見かけます。理由として多いのは、夏のドブロブニクがクルーズ船の観光客でとても混むことや、写真で見た湖の色が天気によっては思ったほど鮮やかに見えないこと。ドブロブニクでは混雑を減らすため、クルーズ船の寄港の数を制限する取り組みも行われています。

逆に言えば、朝早い時間や混雑の少ない季節を選ぶだけで、印象はかなり変わるはずです。城壁の上から見下ろす赤い屋根の海や、石の宮殿の中で今も続く人々の暮らしは、ほかではなかなか見られない景色だと思います。

クロアチアの世界遺産まとめ

クロアチアの世界遺産は全部で10件。城壁の街ドブロブニク、16の湖が連なるプリトヴィッツェ湖群、宮殿が街になったスプリットなど、どれも「人の歴史」と「自然の力」が今も生きている場所ばかりでした。北から南へ順番にたどれば、効率よくいくつもの世界遺産をめぐれます。気になる場所があれば、ぜひ旅の計画に入れてみてくださいね。

図解:数字で見るクロアチアの世界遺産

クロアチアの世界遺産10件の場所と、城壁の長さや湖の数などの数字をまとめたインフォグラフィック
クロアチアの世界遺産の図解 ※イメージ

自由研究コーナー

小学生向け:プリトヴィッツェの湖はなぜ階段みたいになっているの

答え:水にとけている石灰の成分が、コケや藻にくっついて少しずつ固まり、天然のダムのような石の壁を作るからです。この壁が水をせき止めて、湖が階段のように並びます。

まめ知識:首に巻く「ネクタイ」は、17世紀にクロアチアの兵士が首に巻いていた布がフランスで流行したのが始まりと言われています。フランス語でネクタイを「クラヴァット」と呼ぶのは、「クロアチアの」という言葉から来ているそうです。

中学生向け:なぜスタリグラード平原の畑の区切りは2400年も残ったの

答え:畑の区切りに使った石垣が、そのままブドウやオリーブを育てる畑の境目として使われ続けたからです。ずっと同じ使い方をされてきたことで、古代ギリシャの区画がこわされずに残りました。

まめ知識:白に黒いぶち模様の犬「ダルメシアン」の名前は、クロアチアの海沿いの地方「ダルマチア」に由来すると言われています。ただし、犬の本当のルーツについては今もいろいろな説があります。

高校生向け:危機遺産から外れるために必要なことは何か

答え:傷ついた価値を元に戻すこと(修復)と、同じ危険がくり返されないための保護の仕組みを整えることです。ドブロブニクでは、伝統的な材料と技術を使った修復が国際的な支援のもとで進められ、1998年に危機遺産から外れました。

まめ知識:ドブロブニクを都としたラグーサ共和国は、1416年に奴隷の売買を禁止しました。ヨーロッパの中でもかなり早い決定だったと言われています。

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出典・参考文献

  • UNESCO World Heritage Centre: Croatia(https://whc.unesco.org/en/statesparties/hr)
  • UNESCO World Heritage Centre: Old City of Dubrovnik(https://whc.unesco.org/en/list/95)
  • UNESCO World Heritage Centre: Plitvice Lakes National Park(https://whc.unesco.org/en/list/98)
  • UNESCO World Heritage Centre: Historical Complex of Split with the Palace of Diocletian(https://whc.unesco.org/en/list/97)
  • UNESCO World Heritage Centre: Stari Grad Plain(https://whc.unesco.org/en/list/1240)
  • Walls of Dubrovnik 公式サイト(https://wallsofdubrovnik.com/)
  • Plitvice Lakes National Park 公式サイト(https://np-plitvicka-jezera.hr/)
  • EU公式 ETIAS(https://travel-europe.europa.eu/en/etias)

情報の確認日:2026年10月