プリトヴィッツェ湖群の観光ガイド|ルート・入場料・行き方まとめ
16の湖が階段のように連なる、クロアチアの森の世界遺産
いま写真で見ているこの湖の階段は、10年前とまったく同じ形ではありません。水の中で、石の壁が今も少しずつ育ち続けているからです。私がこのことを知ったのは、エメラルド色の湖が段々に重なり、そのあいだを白い滝がつなぐ写真を見て、「これ、本当に自然にできたの?」と調べ始めたのがきっかけでした。階段の正体は、水にとけた石の成分が何千年もかけて積み上げた「天然のダム」だったんです。この記事では、プリトヴィッツェ湖群(プリトヴィツェとも書きます)ができたしくみと、実際に観光するときのルートや入場料、行き方をまとめました。
※この記事にはPRを含みます。
この記事で分かること
- プリトヴィッツェ湖群が世界遺産になった理由と、湖が階段状になるしくみ
- 湖の色が日によって変わって見える理由と、森にすむ動物たち
- 上湖群と下湖群のちがい、入口ごとのおすすめルート
- ザグレブやスプリットからの行き方と、季節ごとの入場料
プリトヴィッツェ湖群が生まれたしくみ
プリトヴィッツェ湖群国立公園は、クロアチアの首都ザグレブとアドリア海のあいだ、山あいの森の中にあります。広さは約297km²。大小16の湖が、標高差およそ133mの谷に階段のように並んでいます。まずは、この不思議な地形がどうやって生まれたのかを見ていきましょう。

プリトヴィッツェ湖群が世界遺産になった理由
プリトヴィッツェ湖群は、1979年に世界遺産(自然遺産)に登録されました。2000年には範囲が広げられています。選ばれた大きな理由は、湖や滝をつくる石灰華(せっかいか。水にとけた石灰の成分が固まってできる、やわらかい石)が、今も自然の力でつくられ続けていることです。景色の美しさだけでなく、「地形ができる途中のようす」を目で見られる場所として、世界的に価値があると認められたんですね。
実はこの公園は、1949年に指定されたクロアチアでいちばん古い国立公園でもあります。70年以上前から、大切に守られてきた森と湖なんです。
世界遺産検定ねらわれやすいポイント
- 登録名は英語で「Plitvice Lakes National Park」、1979年に登録された自然遺産(2000年に範囲を拡大)
- 同じ1979年に、ドブロブニク旧市街とスプリットも登録された
- キーワードは「石灰華がせき止めてできた階段状の湖群」
- 1992年に危機遺産に入り、1997年に外れた
数字や年と、「石灰華」というキーワードをセットで覚えておくと安心です。
16の湖と大滝をつくる石灰華の力
16の湖は、上流側の12の湖(上湖群)と、下流側の4つの湖(下湖群)に分かれています。この湖を一つひとつせき止めているのが、石灰華でできた天然のダムです。
しくみはこうです。まわりの山は石灰岩(せっかいがん。大昔の海の生き物のからなどが積もってできた石)でできていて、そこを通った水には石灰の成分がたくさんとけています。その水が流れ落ちるときに、コケや藻にくっついて少しずつ固まり、石の壁になっていきます。この壁は1年に1〜3cmほどのペースで今も成長していると言われています。いちばん大きな滝「大滝」は落差78m。下湖群の先にあり、公園のハイライトの一つです。
石灰華はとてもこわれやすい
石灰華は、コケや藻と一緒にできるやわらかい石です。人が上を歩いたり、ふちをさわったりするだけでも傷ついてしまいます。公園の中で木道から外れてはいけないのは、この階段を守るためなんです。
湖の色が変わって見えるのはなぜか
プリトヴィッツェ湖群の湖は、場所や時間によってエメラルドグリーン、ターコイズブルー、ときには灰色っぽく見えることもあります。これは、水にとけている石灰の成分や、水の中の小さな生き物、湖の深さ、そして太陽の光の当たり方によって、反射する光の色が変わるからだと言われています。
晴れた日の昼前後は、光が湖の底まで届いて、いちばん鮮やかな色に見えやすいです。反対に、くもりや雨の日は少し落ち着いた色になります。「写真で見たほど青くなかった」という声があるのは、このためかもしれませんね。
内戦と危機遺産を乗りこえた国立公園
1991年、クロアチアがユーゴスラビアからの独立を宣言したあと、この公園の周辺でも武力衝突が起きました。公園は数年にわたって戦いの場となり、管理ができない状態が続いたため、1992年に危機遺産(このままでは価値が失われるおそれがある世界遺産のリスト)に入りました。
戦争が終わると、公園の管理と調査が再開され、1997年に危機遺産のリストから外れました。今では年間に多くの人が訪れる、クロアチアを代表する観光地になっています。美しい景色の裏に、こうした歴史があることも知っておきたいですね。
クマやオオカミがすむブナの森
公園の大部分は、ブナやモミ、トウヒの深い森におおわれています。ここには、ヒグマやオオカミ、オオヤマネコといった大きな動物もすんでいて、ヒグマは公園のシンボルにもなっています。もちろん、観光客が歩く木道で出会うことはほとんどありませんが、森全体が動物たちの大切なすみかなんです。
湖の中には魚がいて、木道から泳ぐ姿をのぞけることもあります。季節ごとに森の色も変わり、春は新緑、秋は黄色や赤の紅葉が湖に映りこみます。
プリトヴィッツェ湖群の観光と回り方
ここからは、実際にプリトヴィッツェ湖群を観光するときの回り方です。公園の中は木道と遊歩道が整備されていて、遊覧船やパノラマ列車を組み合わせながら歩いて回ります。短いルートなら2〜3時間、全部回るなら1日がかりです。

上湖群と下湖群のちがいとおすすめルート
公園には主に2つの入口があります。入口1は下湖群に近く、大滝や、谷を見下ろす展望ポイントへすぐ行けます。入口2は上湖群に近く、静かな湖と小さな滝がいくつも続くエリアを歩けます。2つのエリアのあいだには、いちばん大きなコジャク湖が広がっています。
| 入口 | 主なルート | 時間の目安 | こんな人に |
|---|---|---|---|
| 入口1 | ルートA(下湖群と大滝) | 2〜3時間 | 時間が少ない人・日帰りツアー |
| 入口1 | ルートC(下湖群から上湖群まで) | 4〜6時間 | はじめてで全体を見たい人 |
| 入口2 | ルートH(上湖群から下湖群まで) | 4〜6時間 | 混雑をさけて朝から歩きたい人 |
| 入口1・2 | ルートK(ほぼ全部) | 6〜8時間 | 体力に自信がある人 |
はじめての人には、全体をバランスよく見られるルートCかルートHがおすすめです。ルートの名前や内容は変わることがあるので、当日は入口の案内板で確認してくださいね。
ザグレブやスプリットからの日帰りなら、移動と入場がセットになった現地ツアーを使うと、バスの時間を気にせず回れて安心です。
遊覧船とパノラマ列車の使い方
公園の中では、電気で動く遊覧船と、パノラマ列車(タイヤで走る、屋根付きの小さな乗り物)を使って移動できます。どちらも入場券に含まれているので、追加のお金はかかりません。
遊覧船は、コジャク湖を渡って上湖群と下湖群をつなぎます。湖の上から森を眺められるので、歩き疲れたときのいい休憩にもなりますよ。パノラマ列車は、湖を見下ろす高い道を走り、入口の近くまで戻るときに便利です。冬は運休することがあるので、事前に公式サイトで確認しましょう。
ザグレブやスプリットからの行き方
2026年10月時点で、日本からクロアチアへの直行便はありません。ヨーロッパや中東の都市で乗り継いで、首都ザグレブやスプリットに入るのが一般的です。プリトヴィッツェ湖群へは、そこからバスか車で向かいます。
| 出発地 | 主な移動手段 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| ザグレブ | 長距離バス・車 | 約2〜2.5時間 |
| スプリット | 長距離バス・車 | 車で約3〜3.5時間、バスで約4〜5時間 |
| ドブロブニク | 車(バスは乗り換えが必要なことが多い) | 約6〜7時間 |
ザグレブから入ってプリトヴィッツェ湖群に寄り、海沿いのスプリットやドブロブニクへ南下するルートにすると、移動に無駄がありません。帰りの空港を別にする航空券もくらべてみてくださいね。
森の中では地図アプリを見ながら歩くことが多いので、日本で準備できるeSIM(スマホに設定するだけで使える、カードのいらないSIM)があると安心です。
入場料と季節ごとのベストシーズン
入場料は季節によって大きく変わります。夏の昼間がいちばん高く、冬がいちばん安くなっています。
| 時期(2026年) | 大人 | 7〜18歳 |
|---|---|---|
| 1〜3月と11〜12月 | 10ユーロ | 4ユーロ |
| 4〜5月と10月 | 23ユーロ | 6ユーロ |
| 6〜9月(16時まで、9月は15時まで) | 40ユーロ | 15ユーロ |
| 6〜9月(16時以降、9月は15時以降) | 25ユーロ | 9ユーロ |
7歳未満は無料です。2日間有効の券もあります。夏はチケットがなくなることもあるので、公式サイトで事前に買っておくと安心です。
ベストシーズンは、雪どけ水で滝の水量が多い5〜6月と、森が色づく10月です。7〜8月は景色は明るいものの、とても混み合います。冬は雪景色が見られる一方で、一部のルートや遊覧船が止まることがあります。
料金は変わりやすいので注意
入場料やルート、遊覧船の運行は、季節や年によって変わります。旅行前には、プリトヴィッツェ湖群国立公園の公式サイトで最新の情報を確認してください。
泳げないなど守りたい公園のルール
湖があまりにきれいなので泳ぎたくなりますが、プリトヴィッツェ湖群では湖で泳ぐことは禁止されています。ほかにも、守りたいルールがいくつかあります。
- 湖で泳がない・魚をつらない
- 木道や遊歩道から外れない(石灰華を守るため)
- 動物にえさをあげない、植物や石を持ち帰らない
- ゴミは持ち帰る
- ドローンを飛ばすときは許可が必要
木道には手すりがない場所も多く、雨の日はすべりやすくなります。小さな子どもと歩くときは、手をつないで歩くと安心ですよ。
プリトヴィッツェ湖群観光のまとめ
プリトヴィッツェ湖群は、水にとけた石の成分が何千年もかけて積み上げた、16の湖の階段でできた世界遺産です。湖の色の変化や、今も成長を続ける石灰華、クマもすむ深い森と、知れば知るほどおもしろい場所でした。プリトヴィッツェ湖群の観光は、入口とルートを先に決めて、混雑の少ない朝の時間に歩きはじめるのがコツです。クロアチアのほかの世界遺産については、クロアチアの世界遺産10件一覧でまとめて紹介しています。
図解:数字で見るプリトヴィッツェ湖群

自由研究コーナー
小学生向け:湖と湖のあいだの石の壁はどうやってできたの
答え:水にとけている石灰の成分が、コケや藻にくっついて少しずつ固まり、石の壁になったからです。この壁が水をせき止めて、湖が階段のように並びました。壁は今も1年に1〜3cmほど育っていると言われています。
まめ知識:「プリトヴィツェ」という名前は、クロアチア語で「浅い」という意味の言葉から来ているという説があります。浅い湖や川が多かったことから付いた名前だと言われています。
中学生向け:なぜ湖の色は青や緑に見えるのか
答え:太陽の光のうち、赤っぽい光は水に吸収されやすく、青や緑の光は水の中で散らばって目に届きやすいからです。さらに、水にとけた石灰の成分や小さな生き物、湖の深さによって、見える色が変わります。
まめ知識:プリトヴィッツェ湖群は、1960年代にドイツで大人気になった西部劇映画のロケ地として使われました。アメリカの西部の場面を、実はクロアチアの湖と森で撮影していたんです。
高校生向け:自然遺産の登録基準にはどんなものがあるか
答え:世界遺産の登録基準は全部で10あり、そのうち4つが自然に関するものです。(vii)すぐれた自然美、(viii)地球の歴史や地形のできかた、(ix)生き物や生態系の進化、(x)絶滅のおそれのある生き物のすみか、です。プリトヴィッツェ湖群は、このうち(vii)(viii)(ix)の3つで評価されています。
まめ知識:石灰華が段々をつくる地形は、ほかにもトルコのパムッカレや中国の九寨溝(きゅうさいこう)、黄龍(こうりゅう)などで見られます。どれも世界遺産に登録されていて、見くらべてみるとおもしろいですよ。
関連グッズ:クロアチアの白ワイン
クロアチアの内陸部は白ワインの産地としても知られています。旅の思い出に、おうちでクロアチアの味を楽しんでみてはいかがでしょうか(お酒は20歳になってから)。