インカ帝国の首都、クスコ市街:歴史と文化が息づく世界遺産

ペルー南部のアンデス山脈に位置するクスコ市街は、かつてインカ帝国の首都として栄えた歴史ある都市です。現在ではペルー有数の観光地として知られ、ユネスコの世界遺産にも登録されています。インカ時代とスペイン植民地時代の建築が融合した街並みは、訪れる人々を魅了し続けています。今回は、クスコ市街の歴史や見どころについて詳しく紹介します。

クスコの歴史:インカ帝国の中心地からスペイン統治へ

クスコは、15世紀にインカ帝国の9代目皇帝パチャクテクによって大規模に整備され、帝国の中心地として発展しました。インカ人はこの都市を「へそ」を意味する「クスコ」と名付け、世界の中心と考えていました。都市計画は高度に発達しており、石組みの精巧な建築技術が特徴的です。

1533年、スペイン人の征服者フランシスコ・ピサロがクスコを制圧し、インカ帝国は滅亡しました。その後、スペイン人はインカの建築を基礎に植民地時代の建物を建設し、カトリックの教会や修道院を増やしていきました。このため、現在のクスコ市街には、インカとスペインの文化が融合した独特の景観が広がっています。

クスコ市街の見どころ

1. アルマス広場(Plaza de Armas)

クスコの中心に位置するアルマス広場は、かつてインカ帝国の儀式の場として利用されていました。現在はカフェやレストランが立ち並び、観光客や地元の人々が集う賑やかなスポットです。

2. クスコ大聖堂(Catedral del Cusco)

アルマス広場に面するクスコ大聖堂は、スペイン植民地時代に建設された壮麗なカトリック教会です。内部には金銀細工や宗教画が飾られ、ペルーの美術史においても重要な場所となっています。

3. コリカンチャ(Qorikancha)

「太陽の神殿」とも呼ばれるコリカンチャは、インカ時代の最も神聖な神殿でした。かつては金で覆われた壁があり、太陽神インティへの崇拝の場でした。現在はサント・ドミンゴ教会がその上に建てられていますが、インカ時代の石壁が残り、当時の高度な建築技術を感じることができます。

4. サクサイワマン(Sacsayhuamán)

クスコの北に位置するサクサイワマンは、インカ時代の要塞跡です。巨大な石を精密に組み合わせた構造は、現在の技術でも再現が難しいとされ、インカ文明の驚異的な技術を物語っています。ここからはクスコ市街を一望でき、夕暮れ時の景色は特に美しいと評判です。

5. サン・ブラス地区(San Blas)

クスコ市街の中でも特に芸術的な雰囲気が漂うサン・ブラス地区は、石畳の小道やカラフルな家々が魅力的なエリアです。地元の職人による手工芸品のショップやギャラリーが点在し、ゆったりとした散策を楽しむことができます。

クスコ訪問のベストシーズンとアクセス

クスコの観光に最適なのは乾季(5月~10月)です。この時期は晴天が続き、遺跡巡りや街歩きに最適です。一方、11月から4月の雨季は降雨が多くなりますが、観光客が比較的少なく、落ち着いた雰囲気で観光できるメリットもあります。

クスコへは、リマからの国内線(約1時間半)が一般的なアクセス方法です。また、クスコはマチュピチュへの玄関口としても知られ、多くの観光客がこの地を訪れた後、インカトレイルや鉄道でマチュピチュへ向かいます。

旅のヒント

  • 高山病対策:クスコは標高約3,400mに位置するため、高山病に注意が必要です。到着後は無理をせず、コカ茶を飲むと体調が整いやすくなります。

  • 現地の市場を楽しむ:サン・ペドロ市場では、新鮮な果物や伝統的な工芸品が手に入ります。地元の人々の生活を感じられるおすすめスポットです。

  • ペルー料理を堪能:クスコでは伝統的な「クイ(テンジクネズミの丸焼き)」や「ロモ・サルタード(牛肉と野菜の炒め物)」など、ペルーならではの料理を楽しめます。

  • 夜のクスコも魅力的:ライトアップされたアルマス広場や、サン・ブラス地区のバーでのんびり過ごすのもおすすめです。

 

まとめ

クスコ市街は、インカ文明とスペイン植民地時代の文化が融合した歴史的な街並みが魅力の世界遺産です。アルマス広場やコリカンチャ、サクサイワマンなど、見どころが多く、街全体がまるで博物館のようです。インカ帝国の足跡を感じながら、美しい街並みを散策する時間は、きっと忘れられない思い出になるでしょう。

ペルーを訪れる際は、ぜひクスコの魅力を存分に味わってください!